トリプルミックス

To:拓海と結弦

From:カルロス

ヨークシャテリアの拓海が9歳になった頃肝臓ガンが判明した。余命数ヵ月。急に宣告されて涙が病院から止まらなかった。ええっごはんも食べて、お散歩もできるのにあと数ヶ月だなんて。気持ちをよく読みとる拓海は悲しそうに見えた。2、3日泣き続けた後、残された時間を拓海と笑って楽しく過ごそうと思った。以後、私は拓海の前では泣かないように笑顔でいた。わがままの拓海で唯一困ったのは無添加のご飯。美味しくないのか食べない。添加物たっぷりなら美味しいだろうけど、体が持たない。あれこれネットで調べては拓海が食べられそうなご飯は次々と購入して試し続けた。そうこうしている間に、プードルを飼っている人から子犬が生まれそうだから飼わない?と言われていた。拓海だけで精一杯だけど、私が仕事で外出中、ずっと家に1人でいてお友達がいたら少しは元気が出るかな?プードルなら拓海は好きみたいだし、いいかな?子犬5匹生まれ、そのうち3ヵ月の結弦が我が家にやってきた。(後でわかったが、結弦は柴犬とプードルのミックス犬で立派な中型犬になった。)私は2頭飼が初めて。獣医師や周りの人に飼育方法を教えてもらった。結弦が来た日、拓海は結弦を帰せ、帰せと訴えていた。こんな子はいらない、ぼくがいるじゃない。と訴えていた。拓海は結弦が遊ぼうとじゃれてきても、遊ばない、あっちいけと吠えていた。お散歩の時は2匹を連れていたが、結弦は先輩のお兄ちゃんの拓海の行く場所に行き、おしっこや草の食べ方などを学んでいた。家の外に出たら、小さな体の拓海は、他の犬から自分より大きな体の結弦から守っていた。ご飯の時は、のんびりした結弦はすばしっこい拓海からよくガムなどを取られていた。拓海の食欲がない時は私は結弦の存在に感謝した。にぎやかなまるで幼稚園みたいな生活を送っていた。余命宣告から1年後、拓海は亡くなった。今は結弦が拓海の仕草を真似して、毎日拓海を思い出させてくれる。結弦は柴犬とトイプードルとヨークシャテリアのトリプルミックス犬となった。