私の天使

To:コタロウ

From:くるみ

10年前、私が君に初めて会いに行ったとき、君はお母さんの周りに集まる兄弟を横目に、一匹私の前に来て、お腹を見せてくれたね。あの時から、君しかいないって思ったんだ。 一ヶ月後、君は少し大きくなっていて、沢山いた兄弟は誰もいなかった。お母さんのもとを離れて寂しいかな?って心配をよそに、すぐに私たちのことを受け入れて、家族になってくれたね。 本当に、君が来てから私たち家族の話題のほとんどは君のことだよ。10年経っても、歳をとっても、君はずっと可愛い私の天使のままだ。 大学に進学して、会えない日々が続くのが辛いよ。覚悟はしてたんだけどな。帰省して、また少し色が薄くなった君を見るたびに、どうしようもないほど思ってしまうよ。あと何年、一緒にいられるのかなって。本当はとても怖いんだ。君を失ったら、私は、私たち家族は胸に大きな穴が空いてしまう。 でも、つい先日、君は雪の中を駆け回ってたらしいね。風邪をひかないようにね。君はいつもタオルでふかれるのを嫌がるけど、ドライヤーはもっと嫌なんだから我慢しなきゃだめだよ。 私たちの不安なんて無視して、少しでも長く、元気に生きてね。大好きだよ。