生きる力
To:山本五十六meiji
From:いそママ

4年前の残暑の秋。 夜も更けてきた頃。 その日はたまたま涼しく、窓を開けて過ごしていた。 どこかからドアの軋むような、お腹を押すと音の出るおもちゃのような、キーキーピーピーという音が聞こえた。 その音は1時間にも及び、流石に「こんな時間に迷惑だなあ…なんの音なの?」とベランダに出て耳を傾けた。 すると、時折ミャーと仔猫の鳴き声のようにも聞こえた。 仔猫ならばこんなにずっと鳴き続けているのはおかしいのでは?と暗闇の中 主人と探しに出ると家の裏の塀の隙間に小さな…小さすぎる仔猫を見つけた。 暫く離れて様子を伺うも、母猫も兄弟猫の姿もなくひとりぼっちでずっと鳴き続けている。段々掠れてきた鳴き声…。空からはポツリと雨粒。 バスタオルに包み連れ帰った仔猫は目が開いたばかりでまだ見えていないようだった。 最初は脱水でミルクも受け付けなかったが、砂糖水を与えると少し飲んだ。 その後はミルクも沢山飲んでくれ、スクスクと育ち、今では立派な我が家のヒエラルキーの頂点に君臨している。 あの時「生きたい!」と頑張って力強く鳴き続けてくれてありがとう。 我が家の子になってくれてありがとう。 あなたのママにしてくれてありがとう。