愛しい君へ
To:kachiware
From:yim

我が家に猫がやってきて、猫との生活に慣れた頃、彼は巧みに近づいてきた。 眉間にバツ模様を付け、鋭い目付き。でも、不思議と魅力に充ちたハチワレ猫。彼は我が家の猫を威嚇するでもなく、何なら初対面で鼻で挨拶をし、じっと私たちを見て、去り際に低い声で鳴いた。まるで挨拶をするように。 偶然、お腹が空いて、我が家の猫の食事時に現れただけかもしれない。でも、現れた時、去る時、彼は一声あげた。 「来たぞ」 「またな」 とでも言うように。 挨拶は偉大だ。 コミュニケーションが取れたと感じた時、彼の存在は着実に我々家族に根付いた。 餌付けまでに時間はかからなかった。捕獲しうちの猫にしよう、という決定も早かった。 先住猫も、旧友に会うかのように彼と穏やかに過ごす。夏に家猫になった彼は、その冬には先住猫と団子になって、ぬくぬくと寝ていた。 年が明け、季節がめぐり、彼と出会い二年が過ぎた。年齢不明の彼は、最近シニア向けフードの方をよく食べる。 外猫時代、どれだけの寿命を消費したのだろう? 家猫になり、消費のスピードをどれだけ落とすことができているのだろう? 家猫になるにつれ、低い声は消え、何なら甲高い声で鳴くこともある。まだ、野良の片鱗が残っているが、子猫時代を取り戻すように、私たちに甘えてくる彼。そんな時、最高に可愛い声で鳴く。もう、最高に可愛くて仕方ない。 日々、彼に「可愛い」の言葉を浴びせる。 義務でなく自然にこぼれる言葉だ。理由は、彼が可愛い、それだけだ。 可愛い。 愛しい。 そんな気持ちを抱けるに幸せ。 できることなら穏やかに、彼とまだまだ過ごしたい。 カチワレさん、幸せな時間をありがとう。 これからもよろしくね。