いつか来るとわかっていても
腎臓病が発覚した。
診断が下ったあの日、久々にむさしをまともに見たと思う。
帰ったらむさしは必ずいる。その当たり前さは、家に迎えたあの日からわかっていたはずの、いつかくる「死」を連想させないものだった。
こんなに元気なのに。
そんなに遠くない未来、一緒に遊ぶことも、一緒に寝ることも、仕事からクタクタになって帰宅した時に玄関から聞こえる鳴き声もなくなってしまうと思うと、どうしたって涙が出てくる。
死はあたりまえにくるからと、割り切ったつもりで連れてきたはずなのにおっかしいなぁなんて言いながら背中を撫でてみる。
飼い主の心配をよそに喉をならして満足気のむさし。
いつも通りの君を、今日は心から愛しいと感じる。