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2021.08.01

いつもあなたと一緒に

犬の外飼いを取り巻く現状・法改正の提案

外飼い犬の数は推定93万頭。その中には、孤独・寒さなど劣悪な環境で過ごす子もいる

炎天下でも凍えるような寒い日でも、くさりに繋がれ、同じ場所に座り続ける毎日を過ごす犬。

狭い犬小屋で、体を折り曲げて苦しそうにしている犬。

ひとりぼっちで屋内の家族の団らんに耳を傾け、飼い主に愛してもらえる日がくることを夢見ている犬。

今、この瞬間にも、このような孤独・苦痛に苦しむ外飼い犬が存在しています。

2021年現在、日本ではまだ多くの犬が屋外で飼育され、その数は全体の11%である約93万頭*1に上ると推定できます。外飼い犬の全てが劣悪な環境で飼われているわけではないですが、繋がれた犬を目撃した人の数・ネット上に投稿される外飼い犬虐待相談などの多さを思い起こせば、その数は少なくないでしょう。
*1: 全国ネット調査によると日本には外飼いの犬が約11%存在(ペット相談サービスMOFFMEによるインターネット調査、2021年)。犬の合計飼育数が約849万頭(ペットフード協会による全国犬猫飼育実態調査、2020年)なので、849万×11%で、約93万頭が外飼いと推定
出典:ペットフード協会調査 全国の犬の飼育件数(日本、2020)、MOFFMEネット調査 ペットの飼育場所(日本、2021)

今の法律では、「繋ぎっぱなし」を法律で罰することができない

残念ながら、今の日本の法律では、繋ぎっぱなし・狭い犬小屋飼育といった行為だけで、飼い主を取り締まることが難しいです。

その証拠に、報道されるニュースは、長年劣悪な状況に置かれ、皮膚病や餓死などに至ってしまったケースばかりです。つまり、すぐに衰弱や死につながるものではない、じわじわと日々犬を苦しめる行為を「虐待」として訴えることができていないのです。

虐待に関連する法律には、動物愛護管理法の一部として、「動物愛護法44条2」があります。

この法律に基づき、H22年環境省発表の「飼育改善指導が必要な例(虐待に該当する可能性、あるいは放置すれば虐待に該当する可能性があると考えられる例) 」*2では、一般家庭においては、以下のような飼い方が意図的な虐待・ネグレクトに該当する可能性があるとしています(一部を抜粋して記載)

●(繋ぎっぱなしで散歩にも連れて行かず)犬の糞が犬の周りに何日分もたまり、糞尿の悪臭がする
● 外飼いで鎖につながれるなど行動が制限され、かつ寒暑風雨雪等の厳しい天候から身を守る場所が確保できない様な状況で飼育されている
● 狭いケージに閉じ込めっぱなしである
● リードが短すぎて、身体を横たえることができない
● 首輪がきつすぎてノドが締めつけられている
*2出典: 環境省公表 飼育改善指導が必要な例(日本、2010)

このような行為が虐待に値する可能性があるとしながらも、H25 年からH30年までに新聞報道された動物の虐待事例(環境省発表)*3を見ると、多頭飼育や飼育放棄の末に衰弱、あるいは、死亡させたケースがずらりと並び、精神面や軽度な肉体的苦痛のケースは見当たりませんでした。
例えば、「清掃や汚物処理を十分に行わず、悪臭が立ち込める場所で飼育し犬を皮膚病に感染させた」という病気に至ったケースはありますが、「ずっと繋がれている」や「狭い犬小屋で窮屈そうにしている」といったケースは確認できませんでした。
*3出典:環境省公表 新聞報道された動物の虐待等の事例(日本、2018)

なぜこのような事態になっているのでしょうか?

犬の飼い方に“数値基準”を設けて、虐待行為をもれなく取り締まれるようにするべき

「どこまでが虐待なのか」に対し、数値的な基準が設けられていないことが、要因のひとつと考えています。

先述のH22環境省発表の「飼育改善指導が必要な例」*2を見ると、「繋ぎっぱなし」、「狭いケージ」、「短いリード」といった、主観的・曖昧な表現が並んでいます。

はたして、「繋ぎっぱなし」とは、何時間のことなのでしょうか?

「狭いケージ」の大きさは、具体的には、縦・横・高さが何cmのことをいうのでしょうか?

人の価値観は様々です。2-3時間でも犬の繋ぎっぱなしは気の毒だという人もいれば、連続して何日も犬を繋いでおくことが平気な人もいます。

そのため、例えば、「繋ぎっぱなしとは6時間連続で繋ぐことである」という数値基準を設けなければ、繋ぎっぱなし行為を訴えることが難しいのです。

2021年6月、動物愛護法が改正施行され、ペットショップやブリーダーなど犬猫を取り扱う事業者全般に対して、「飼育環境等に関する数値規制」がスタートしました。これにより、業者が、不適切な環境で犬猫を飼育している場合に取り締まることが容易になります。例えば、犬猫のサイズに合わせた販売スペースの最小床面積などが決められ、これより狭いスペースに犬猫を閉じ込めている場合には罰することができるようになります。

しかし、この規制は、ペットショップやブリーダーの業者に対するものであり、家庭での飼い主は対象外となっています。

犬が多くの時間を過ごす家庭においても、動物愛護の観点から問題視されることの多い「外飼い」に対して数値規制を導入すべきと考えます。

一方、海外には、家庭犬の飼い方に、数値基準を設けている国があります。

世界14カ国に拠点を持ち国際的な動物保護活動を行う世界動物保護協会(WAP)が発表した、「世界動物保護指数」*4を見ると、ランクAからGの評価において、日本はEランクであり、高いとはいえません。

そこで、日本よりもランクの高かった、スウェーデン(B)とアメリカ(D)の、犬の外飼いに関する法律を調べてみました。すると、「連続して繋ぐことが許容される時間」、「繋ぐことが許容される時間帯や温度」、「犬のサイズに合わせた敷地面積の広さ」、更には「綱の長さ」まで、細かく数値基準があることが分かりました。
*4出典: 英NGO ワールド・アニマル・プロテクション作成 「世界動物保護指数」(イギリス、2021)

ここでは、アメリカとスウェーデンの、犬飼育に関する一部の法律を抜粋してご紹介します。
繋ぐ行為・飼育環境・人との触れ合いという幅広い観点で、犬の福祉向上を目指していることが分かります。


*5 出典:動物保護に関する規制(犬)農業省、(スウェーデン、2011)
*6 出典:23州・DCの繋ぎ飼いに関する規定(アメリカ、2020)
*5 出典:動物保護に関する規制(犬)農業省、(スウェーデン、2011)
*5 出典:動物保護に関する規制(犬)農業省、(スウェーデン、2011)

繋ぎっぱなしは、犬の視点から見れば、虐待行為である

最後に、繋ぎっぱなしなどの行為が、「虐待」といえるのかについて、私たちの見解をお話しします。

私たちは、科学的な見地に基づいても、「犬に人との触れ合いを持たせない行為」は、犬の精神障害である「分離不安」という症状を引き起こす可能性が高まること、また、万全な安全対策・衛生管理をとらない外飼いは犬の短命につながることから、「繋ぎっぱなしや危険・不衛生な環境での飼育」を「虐待」とみなすべきだと考えています。

➀孤独がもたらす分離不安による異常行動

「分離不安」は、犬が飼主から離れることで引き起こされる不安関連障害として長く認識されています。飼い主が不在になると、犬は下痢や嘔吐といった体調の変化や、モノを壊したり鳴き続けたりといった問題行動を起こします。

②外飼いの短命リスク要因の多さ

病気リスク

● ノミやダニ、蚊といった寄生虫に晒されることが多く、それに伴う感染症のリスクが高まります。
● 極度な暑さ・寒さにさらされ、熱中症や凍死リスクが高まります。
● 室内飼いと比べ、雨や土や泥、自らの排尿、便、抜け毛などで体が汚れやすく、不衛生な生活で皮膚病などのリスクが高まります。

事故リスク

● 犬が敷地内から脱走してしまう恐れが高まります。厳重にフェンスで囲うなど脱走できないような工夫をしていても、家飼いに比べると脱走による交通事故リスクは高まります。
● 通行人との距離が近い為、悪意を持った人のいたずらや盗難リスクが高まります。


犬を感受性ある生き物として尊重し、動物愛護法への「犬の外飼い数値基準」導入を目指す

紹介した海外の外飼いの法律は、犬が、私たちの家族として、また社会的な動物として、充実した一生を送るために欠かせないものだと思っています。

もちろん、海外と日本では事情が異なるため、海外の法律をそのまま採用することは難しく、具体的な規制内容は、環境省を始めるとする方々と練っていく必要があります。そのため、今回の署名は、具体的な規制内容でなく、「このような法律を作る」という方向性に対し、賛同を頂ければと思っています。

近所で見かける哀れな外飼い犬を救ってあげたい、一瞬でもそんな想いを持たれた経験があれば、ぜひこちらから署名にご協力をお願いいたします!

出典一覧:

*1 ペットフード協会調査 全国の犬の飼育件数(日本、2020)URL
*1 MOFFMEネット調査 ペットの飼育場所(日本、2021)URL
*2 環境省公表 飼育改善指導が必要な例(日本、2010)URL
*3 環境省公表 新聞報道された動物の虐待等の事例(日本、2018)URL
*4 英NGO ワールド・アニマル・プロテクション作成 「世界動物保護指数」(イギリス、2021)URL
*5 動物保護に関する規制(犬)農業省、(スウェーデン、2011)URL
*6 23州・DCの繋ぎ飼いに関する規定(アメリカ、2020)    URL

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