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いつかは来る看取り。覚悟して準備をしておこう

活動レポート

元気なうちから考えておこう(後編)~医療やお金、「その時」のこと~

2026.05.31

目次

「元気なうちから考えておこう(前編)」でもお伝えしたように、かけがえのない「うちの子」を大切に思えば思うほど、いつか必ずくる「その時(最期、お別れ)」のことも考えておかなければなりません。

後編では、シニア期に重要な終末期医療やお金のこと、そして後悔のないお別れができるように、最期をシミュレーションしておく重要性についても考えます。

考えておきたい終末期医療

  1. 治療方針や過ごし方
    手術をするしない、治療や通院をいつまで続けるか、無理な延命はしない、なるべく家で過ごさせたいなど、終末期の医療や過ごし方について考えておくことは、飼い主さんのもっとも大事な役割のひとつ。どうしても自分の気持ちを中心に考えてしまいがちですが、「この子はどうしたいだろうか」と、「うちの子」を主役にして考えることが何より大切です。
    また、心配そうにしている飼い主さんのいつもと違う表情や言動が、余計に「うちの子」を不安にさせてしまうことも。病気になってもなるべく普段どおりに過ごす、何かを止めたり制限したりしないなど、できるだけ日常に近づけてあげることが、「うちの子」の安心と尊厳を守ることになるでしょう。
    治療や通院をなるべくしないと決めた場合には、マッサージや日光浴など、治療以外で飼い主さんにできることをいろいろと考えてみましょう。緊急時のため、往診が可能な病院や24時間対応可能な病院なども調べておくと安心です。

  2. 安楽死ポリシーを決めておく
    生命観の違う欧米とは違い、日本において安楽死はあまり一般的なものではありません。また、獣医さんによっても考え方や方針が異なります。とてもつらいことですが、苦しみや痛みから解放してあげるためのひとつの選択肢として、どんな状態になったら検討するか、「その時」がきてもあわてないよう事前に考えておくことは重要です。
    家族であっても、個人個人で安楽死に対する考え方が違う場合もありますので、きちんと話し合っておきましょう。

使えるお金の準備について

  1. どれくらいかかる?
    介護の体制を整えておく際に、かなり重要なのが費用面。ペットフード協会の調査によると、年間の飼育費用は、犬で約19万円、猫で約12万円かかるとされています。体の大きさや健康状態などで個体差がありますし、高齢であれば、さらに高額な医療費や介護費用が必要になります。飼い始めた時から備えておけるとよいですが、なかなかそうもいきません。せめて何にどれくらいかかるかを早めに調べおきましょう。
    実際、シニアや病気のペットの介護グルーミングの相談は増えているそうですが、時間や費用面などが折り合わなくて契約に至らないケースや、歳を取ればとるほど高額になってくる医療費との兼ね合いから、途中で依頼が切れてしまうケースも少なくないと言います。
    そういう状態になった時にこそできるケアもあるので、ある程度の貯蓄を用意しておくことは、高齢になってから十分なサポートを受けることが可能になり、「うちの子」とのより充実した時間を過ごすことにも繋がります。


    ※一般社団法人ペットフード協会「令和7年(2025年)全国犬猫飼育実態調査」より

  2. まわりに頼ることの重要性
    大切な「うちの子」を飼い主さんやご家族だけで支えたいという気持ちもわかりますが、家族だけでは介護が難しい場合を想定して、ペットシッターやペットホテル、老犬猫ホームなど、信頼できるプロを見つけておくことも大切です。
    専門家の力を借りることで知識や情報が増え、ケアの幅も広がりますし、相談相手がいることは飼い主さんにとって心強い存在にも。
    「留守の間は老犬猫ホームに預ける」「定期的に信用できるシッターさんに来てもらう」など、元気なうちから利用して慣らしておけば、ストレスも少なく利用することができるので、急な様態の変化などにも対応できます。
    実績や資格、どんな子達をケアしているかなど、どういうところか事前に調べておくとよいでしょう。
    <おすすめ本>
    「私が死んだあとも愛する猫を守る本」著:冨田園子/監修:磨田薫(行政書士)
    「ペットとわたしのエンディングノート」編著:NPO法人 ペットライフネット

最期をシミュレーションする

  1. ペット目線で考える
    想像するだけでつらくて悲しくなりますが、もしもの時にあわてないよう、なるべく後悔しないよう、どんな最期にするかを考えておくことは、とても重要です。なぜなら、「その時」になると冷静ではいられず、思考が停止して考えることすら難しくなりますし、突然やってくる場合もあります。
    お別れに呼びたい家族やお友達、犬猫仲間を決めておく、エンゼルケアはどうするか、棺(箱やかご)に何を入れてあげるか、どこでセレモニーをおこなうか、納骨はどうするか。人の場合と同じでやることばかりですが、そのすべてを短い期間で決めなければなりません。ここで大切なのは、「うちの子だったらどうしたいか」「うちの子らしい旅立ちとはなにか」と、必ず「うちの子」目線で考えてあげること。
    シミュレーションして、しっかり備えておくことができていれば、大切な「うちの子」の一度きりの旅立ちを、悲しいだけじゃない思い出にすることもできるでしょう。
    <おすすめ本>
    「犬と私の交換日記」「猫と私の交換日記」著:阿部美奈子(ペットグリーフの第一人者・獣医師)
    「ありがとう。また逢えるよね。」著:横田晴正(ペット霊園ソウルメイト住職)

  2. 一緒にいられる時間
    「うちの子」のかわいい姿を見ることができるのは、この時が最期です。セレモニーをおこない、姿が見えなくなると想像もできないような大きな喪失感に見舞われます。この最期の時間を急がずあわてず、少しでも長く一緒に過ごすことができれば、ペットロスを減らし、その後の人生が変わるとも言われています。
    たくさんさわる、ふわふわの毛や爪を残す、顔をうずめて臭いをたくさん吸う、思い出の場所をお散歩する、添い寝するなど、愛する「うちの子」を感じる方法はそれぞれですが、そのすべてが飼い主さんと「うちの子」とのかけがえのない大切な時間となるのです。


▼最期の7日間/AWGsスタッフ
我が家の愛犬りんたろうの「その時」は突然訪れました。受け入れることができないまま何時間も泣いていましたが、それでもこの後どうしようと頭をよぎり、以前より知っていた動物供養のできるお寺さんに連絡をしました。離れたくない苦しい気持ちを正直に伝えると、「急ぐことはないですよ」と言ってくれました。
その言葉もあって、すぐに旅立たせることはせず、それから7日間を一緒に過ごしました。抱っこして思い出の川辺に行ったり、カートに乗せていつもの散歩コースを歩いたり、大好きだったドライブをしたり。手を繋いで話しかけながら、毎日添い寝をしました。伝えたいことがたくさんあり過ぎて、手紙を書いたら10枚を超えていました。
その7日間がなければ今頃どうなっていたか、ただつらいだけの悲しいお別れだったと思います。


旅立ちのとき(エンゼルケアについて

エンゼルケアとは、見送る前の最後のお手入れのこと。体を拭いたり、爪を切ったり、シャンプーをして、「うちの子」をきれいに清潔にして、生前のようなふわふわの姿にケアします。動物病院によってはエンゼルケアができるところもありますが、飼い主さんが自分でおこなうか、専門の方にお願いするケースが多いようです。この時間があるのとないのとでは気持ちの上でもかなり大きな違いが出るでしょう。

そしてまた愛しましょう(まとめ)

アニマル・ドネーションの理事でもある、東京農業大学の増田宏司教授の講演で聞いたお話の中に、「犬(猫)を飼うことのゴールは、犬(猫)の最期を看取ることではなく、あなたの愛犬(猫)があなたに授けてくれた犬(猫)を幸せにできる実力を、次の犬(猫)にお返しすることです」という忘れられない言葉がありました。
つまり、「うちの子」を看取った経験と愛情は必ず活かせるし、さらにもっと力がついて「次の子」を幸せにしてあげられるという内容ですが、これは看取りを経験したすべての飼い主さんにあてはまるのではないでしょうか。

どんなに準備をしても心構えをしていても、大切な家族を失った時にはどうしようもない深い悲しみが必ず訪れます。
すべてやりきったなんて完璧はないかもしれませんが、事前に学び、備えておくことで、「ああすればよかった」「先に知っていれば」ではなく、ひとりでも多くの飼い主さんが「ありがとう、またね」と言えますように。


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健やかな一生を

目の前にいる可愛い子犬・子猫がどこでどのように生まれたのか、思いを馳せてみましょう。親元から離され、長距離輸送により精神疾患を病んだり、遺伝子疾患などの健康問題を抱えた子が存在しています。多くの犬猫が健康体で人生のスタートを切れるようにするための方法を考えていきます。さらに、家族として迎えた子と少しでも長く過ごすためにできることや「旅立ち」までの準備、「ペットロス」についても学んでおきましょう。

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