運命?いや、大袈裟ではなく。
To:タルト
From:飯田智文

8年前に私が大病をし、後遺症から勤め先を辞めざるを得ない状況になり、同時に元妻からも離婚を告げられ、失意のどん底の更に底辺の状態で実家に戻り、後遺症のリハビリのお供に、と犬を飼うことを決意。実家の両親はペットショップでの購入を勧めたが、県の愛護センターからの保護犬を迎え入れることに。 面談の日、他の子は遠慮して伏し目がちだったり、私の事はお構いなしに先へ行ってしまう子が多い中、タルトだけが初めて会ったのにしっかりと私の目を見てアイコンタクトをしてくれ、また足が満足に動かせず、杖を突いている状況の私に合わせてお散歩をしてくれた。 棄てられていた子とは思えないほど艶やかな毛と、ベルベットのようなタレ耳が愛らしく、ふさふさで長い尻尾を力いっぱい振って、初見の私にも臆することなく「大好き!」を表現してくれた。―――暫くの間、心身ともに辛い事ばかりで閉じかけてた私の心を、タルトはいっぺんに、開いてくれた。 その後、元から折り合いの良くなかった両親からも病気を理由に勘当され、実家を離れる事にもなりましたが、慣れ親しんだお散歩の道や犬友達から遠く離れ、新天地となった山梨の新しい環境になってからも、すぐにたくさんの人に愛され、犬友達も増え、抜群の適応能力を見せてくれました。 毎日、タルトと歩いたおかげで足の後遺症はほぼなくなり、今では重度の難聴が残っている状態だけど、耳がよく聞こえない私に代わって、来客のチャイムや電話の着信音に、こっちを見て教えてくれるのは本当に助かってます。誰も教えてないのに、なんでそんな芸当ができるの? 高熱を出して寝込んだ時も、普段は別々に寝てるのに、いつの間にか隣に来て、悪寒で震える私に一晩ずっと寄り添ってくれた。どんな暖房や湯たんぽよりも温かかったなぁ。 タルトに出会えてなかったら、私の人生は今よりももっともっと暗く、沈んだものだったに違いないという思いが、「思う」ではなく「確信してる」になっている今日この頃。 どんな事情で棄てられていたのかは不明だけれど、私のところに来てくれた事に、出会えた事に心から感謝しているよ。本当に、本当に有難う。 我が家にタルトがやってきて7年。まだ7年。もう7年。 イタズラもたくさんやってくれたけど、タルトの笑顔で全部チャラにしちゃってます。 これからも、たくさんの、たくさんの笑顔を私に見せて下さい。