我が家に突然やって来た、ミニチュアダックスのベル。

To:ベル

From:まつ

ある日突然、弟が家にミニチュアダックスを連れて帰ってきた。 「友達のカップルが別れて要らなくなったんやって」 そんな身勝手な理由で捨てられた年齢不詳の名前はベル。オスで去勢手術はしていない。 人形みたいにじっとしている。 ボールをなげても無反応、触ってもされるがまま…。本当に犬らしくない。心ここにあらず、という感じ。 「ベルは虐待されてたみたい。身体にある傷は煙草を当てられてできた傷やで」 随分と酷い目にあってきたみたいで、恐怖とか不安で攻撃すると痛い目にあってきたからなのか、全くの無抵抗だった。 うちの家族は犬好きで、先住犬がなくなって一年程経った事もあり、みんなに大切に大切にされた。 半年もすれば、ベルはおもちゃを噛み噛みして元気に遊ぶようになった。冬はヒーターの前を陣取り、おもちゃが取られそうになったら犬らしく唸る。笑。 ベルの好物は、キッチンに立つお母さんがたまにくれる、うどんと豆腐が大好き。 ソファで寝ていると一緒に寝たいみたいで、ぴたっとくっついてくる。そんな愛嬌たっぷりの犬にいつのまにか戻っていた。 それから何年もたってベルと一緒に過ごす生活が当たり前に続いて時は流れていった。 ベルもおじいさんになり体調が心配されていた。そんなタイミングで旅行に出かけていたとき、早朝お母さんから電話があった。 ちょっと怖いな…と、電話を取ると、嫌な予感は的中してしまった。。電話の向こうはすでに号泣してるお母さんの声だった。 「…ベル…死んでもたわ…。昨日も座って眠らず、フラフラしながらずっと立ってて、座ってもたらアカンって思ってたんかなぁ…?朝みたらグッスリ寝てるんかと思ったら冷たかったわ…」 旅行先で突然の訃報にショックをうけた。 でも、ずいぶんと長生きしたベルだし、老衰みたいに眠って亡くなったと聞いてホッとした気持ちもあった。 ベル、うちに連れてこられて楽しかった? もう聞くことはできないけど、こっちは楽しかったよ!ありがとう。と伝えたい。