介助犬と共に
To:タフィー
From:平野克美

「絶対に一人で外出する!」 仕事中、屋根から転落し大ケガをして、寝たきりで酸素をした状態の夫の決意を、夢物語のように聞いていた私。 1年半も入院したのに、胸から下がマヒし、手足が不自由な状態で、体温も血圧もコントロールできない状態で退院し、自宅に帰ってからは、声すら大きく出せないため、離れられない日々が続きました。 しかし大ケガをして10年。体の状態は変わらないけれど、夫は1人で航空機に乗って出かける事もできました! その秘密は、我が家に来てくれた介助犬のお陰です。 24時間365日、介助犬は夫に寄り添ってくれています。 体が辛くても、ご飯のおねだりに、ベッドの足元に座られると、自分でお世話をしなくてはならないと、気力をふりしぼり、車イスに座ります。 ご飯をあげて、ブラッシングをしているうちに、体を動かしたお陰で血流が良くなるのでしょうか。それとも、介助犬の嬉しそうな姿を見る事ができるからでしょうか。何とかそのまま、起きて1日を過ごす事ができるようになってきました。 体温調節ができないはずなのに、冬の寒い時はたくさん着こんで、夏の暑い時は夜や朝早くに、お散歩に出かけていきます。 また、全国でもまだまだ珍しい存在の介助犬を連れている事で、笑顔でたくさんの方々が声をかけて下さいます。そのお陰で、ちょっとしたお手伝いを頼みやすくなったようで、どんどん1人での外出が増えました。 私も介助犬に主人の事を任せて、仕事に出られるようになったことは、思いもかけない事でした。 たった1頭の犬が来た事で、1人で外出どころか、夫はもちろんの事、家族も笑顔と安心が増え、人と人を繋ぐ、大きな役割を果たしてくれています。 介助犬が我が家に来て、もうすぐ7年。シニア期に突入し、元気で居てくれれば、引退まであと約1年。沢山の思い出をまだまだ作って行きたいと思います。 そして、無事に引退をしたら、引き続き我が家のペットとして、そして、さらに沢山の方を癒すお手伝いをしたいと、家族一同、まだまだ介助犬との物語は続きます。