もっともっと広い空へ。Laniとの出会い。

To:Lani

From:Tomomi Imai

保護犬。 それはいろんな理由により、そう呼ばれている。 本来なら「イングリッシュコッカースパニエル」として血統書がつくはずの、ブリーダーが産ませた犬。 何も問題ない。至って健康だし頭も良いけれど天真爛漫で、好奇心旺盛で優しい。 彼の左目には白い曇りがあった。たったそれだけ。 視力にも問題ない。 なのに、障害者であり、売り物にならない犬として、里親さんが引き取った時は、まだ生まれて半年。 私は、価値観の違いから離婚し、地方や海外を飛び回る仕事をしている。正直、忙しい方だろう。 だからこそ、パートナーが欲しかった。犬は、人生の半分以上一緒にいる。そこで、いくつか問い合わせしてみたり。 でも、保護犬を扱う人達は、単身で働く女には世話なんかできない、無責任だと、結構きついことを言われたこともあった。 そんな中、「そんな自由に生きているあなただからこそ、この子にも自由をくれると思うんだ。面白いじゃないか。人生、何も起きないよりましだよ」と、面白がってくれた一人の里親さんがいた。その里親さんは、電話でも直接でもしっかりどっぷり話して、マッチングをしっかりやってくれる。もらってくれるからとホイホイあげるわけではない。お互いの人生にとって、寄り添い会えるか。それをみてくれる。まるでお見合いだった。 その方はもらってくれた方をエンジェルさんと呼んでくれて、もらった後もまるで実家のように、受け止めてくれる。私が出張するときは、ペットホテルよりも、そちらに預けに行く。広く静かで豊かな土地でシェルターを営んでいるから、5000円も払ってもカゴ1個に閉じ込められるようなところなんかより全然良い。 そうやって、一緒に保護犬を無くそうとかネガティブな方向ではなく、「wastedだってこんなに豊かになれる」ってことを証明していこうと、あっという間にteam Laniは出来上がった。 こうして、私はある夜から彼との共同生活を始めた。 名前は、ラニー。 ハワイ語で、「空・天国・天使」。 狭い価値観が広がるこの世のなかでも、たくさん羽を伸ばして羽ばたいてほしい。たとえかつて保護犬と呼ばれた犬だとしても、犬だって人生を選択できる世の中であってほしい。 私は島にも住んでいるから、そこにも一緒に行った。小学生とかけっこして遊ぶ彼は、とっても嬉しそうだった。 旅好きな私と彼の新しい旅は、まだ始まったばかり。