また会えるかな
To:アリス
From:M.H.

わたしが9歳のとき、引越しと同時に我が家に来たアリス。友達との別れが気にならないくらい、あなたと家族になれるのを楽しみにしていました。小学校からの帰り道、散歩の練習に熱心なわたしに同級生はうんざりしていたとか。 来たばかりの頃は子ぐまみたいにまるかったけれど、きりっとした美人になったね。泣いているわたしに気がつくと、勢いよく顔を舐めに来てくれた。子どものようでお姉さんのようなアリスが大好きすぎて、しつこく抱きついてはよく噛まれました。 電車や病院は嫌いだったけれど、なんでもよく食べて、よく動いて、健康そのものでした。だから、お別れがこんなに早いとは少しも想像できませんでした。 肺炎、つらかったね。当時 高校生だったわたしは試験勉強真っ只中で、なかなか薬を飲んでくれないことにイライラしたこともありました。逆くしゃみだと診断されてから間もなく、そんなに大変なことになっているとは思わなかった。まさか数日後にお別れだなんて。もっと側にいればよかった。最期に病院で面会したとき、酸素吸入器に入ったあなたの目が今も忘れられません。 あれから7年。楽しい思い出と後悔が一日も心を離れません。旅立つ直前、別れに向き合えず、病院からの再度呼び出しに応じる両親を見送って、家に残りました。強い飼い主になれなくて本当にごめんね。 今までいろいろな人に出会ったけれど、あなたほど大切な存在はいないと思う。家族、姉妹、親友……どんな言葉で表現するのが正しいかわからないけれど。きれいな茶色の瞳、柔らかくてふわふわの毛並み、後ろ脚にある狼の名残の爪、ちょっと枝豆の匂いがする肉球。そういえば、出べその手術もしたね。ぜんぶ覚えています。あまり好きじゃなかったウェーブがかった自分の髪も、アリスとお揃いだと思うと愛おしく感じます。 短い時間だったけれど、一緒に生きてくれてありがとう。感謝の言葉も謝罪の気持ちも多すぎてここには書ききれないけれど、それはまた会えたときに伝えたいな。いつかきっと会えるという期待が今もわたしを支えてくれています。 これから自分と関わっていくワンちゃんには幸せになってほしい。その思いと、自分の気持ちの整理も兼ねて書きました。