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「動物介在活動」の普及を通じ、犬・猫に多くの活躍の場を提供

活動レポート

「動物介在療法」聖マリアンナ医学大学病院における実績について

2023.07.04

目次

犬が医療チームの一員として治療の一環を担う

神奈川県にある聖マリアンナ医科大学病院(以下、聖マリアンナ)では2015年から動物介在療法を取り入れています。8年間で約400件(うち小児患者へ約50件)の動物介在療法の成果をお聞きしました。

聖マリアンナでは、2015年4月から初代勤務犬のミカ(黒いスタンダードププードル)が活躍し、2019年1月に2代目のモリス(白いスタンダードプードル)がバトンを受け取りました。そして2023年の春にモリスは引退し、現在は3代目のハク(ゴールデンレトリーバー)が勤務しています。いずれも、週に1~2回、病院の「勤務犬」として名刺を持ち(!)活躍をしています。

勤務犬への依頼というのは、病棟看護師や医師が患者さんの困りごと(例えば意欲が低下していてリハビリが進まない・思うようにいかない現状に苛立ち周囲とのコミュニケーションを拒んでしまう、など)に対して、どのようにアプローチしていこうか、と考える過程で、動物介在療法が立案されます。 看護師であるハンドラーは、依頼のあった患者さんとモリスが初めて会う際に、患者さんの反応をみて、モリスがこういう役割を担ってくれたら患者さんの目標に一歩近づけるかもしれない、という気づきから具体的なアプローチ方法を病棟側と一緒になって考え構築していき、目標設定をするとのこと。犬がいて癒される、といったふんわりとした成果ではなく、治療の一環を担っているのです。

「モリスがいたから頑張れた」

モリスが担当した患者さんの診療科目は、小児科や小児外科をはじめ、神経内科や脳神経外科、循環器や呼吸器、心臓、眼科と、病院のほとんどの科目が対象になっています。病気だと、悪性腫瘍が最も多く34%、次に変性疾患12%、小児系11%、ほか様々な病気を抱える患者さんに向き合っています。

例えば、障がいがあり、病気治療に取り組む女の子。レントゲンを撮るにも五人の医療従事者で押さえねばならない、もしくは鎮静剤に頼っていたのに、モリスが寄り添うようになって、全く嫌がらなくなり笑顔で治療が受けられるようになったそう。その子のお母さんのお手紙には以下のような感謝が綴られていました。

「この3年間を思うと笑って入室する娘の姿が見られるとは思いませんでした。モリスのおかげで鎮静剤をかけることなく、自分の意思で手術が受けられました。障がい個性を尊重し、ご配慮くださった主治医、看護師、スタッフの皆様に感謝いたします。障がいを持つ家族の希望となりました。」

他にも、悪性リンパ腫や白血病を患い日々不安な中、モリスによって精神の安定や笑顔がもたらされた事例は多数。また患者のみならず、子供の病気を心配するあまり精神的不安に陥る親御さんへも安定をもたらした事例も多い。

もちろん、モリスは医者でもないし、本人(本犬)は「病気を治してあげる」とも思ってはいないでしょう。ただ、週に2回病院に遊びにきているつもりなのだが、その存在自体に救われる患者(および家族)そして、少なくないと思われる医療従事者がいるということなのです。

右が2代目モリス。左が3代目のハク。いずれも日本介助犬協会が育成している

全国の病院に動物介在療法を

AWGsでは、介在療法を拡げていく活動を「ゴール3 秘めた能力を解放させよう」で進めています。犬猫たちはかわいいだけでなく、いかに人にとって必要な存在であるのか、介在活動の可能性はとても大きいと思っています。

日本では認められていませんが、ドイツやアメリカ、イギリスなどでは、動物介在療法が保険治療の適用になる国があります。薬や手術といった人が行う治療と同じく主にメンタルの向上において動物の力が良い方向へ治療を促すことが科学的にも認められているのです。

聖マリアンナの2代目モリスのハンドラー看護師の大泉奈々さんと竹田志津代さんに「活動を広げるために必要なことは?」と聞いてみました。

「アレルギー対策と感染対策をどのように行うかだと思っております。移植医療や手術室、感染制御部を主導されている専門家の先生方にお力を貸して頂きながら、それらへの具体的対策を準備することと、安全性について周囲に理解していただくことが必要です。

犬の管理方法についても、家庭犬たちと違い、毎日お湯拭きをし被毛の管理を徹底することや、触れる前の手指消毒を皆さんにお願いすることで、犬をきれいに保つことが可能です。アレルギーの方は事前に病院側が把握しておき病棟に伺った際に該当の方がいる場合は、犬が歩くルートを考えるなどの配慮ができるようにしておきます。

当院の導入前のようにまずは、補助犬の訪問や動物介在活動などで、病院に犬がいることで生じる効果や雰囲気を実際に感じていただき、訪問活動の中で生じたデメリット、課題を抽出すると良いと思います。」

2代目モリスとハンドラーの大泉奈々さん。モリスは引退後は大泉さんの家族として暮らす

日本では、病院にいる犬はまだほんの数頭です。ぜひ多くの病院にチャレンジをしてほしいと考えます。そして、近い将来日本においても、保険適用も視野に入れたいと考えています。病院に動物がいることが当たり前、動物が人間にもたらすポジティブな効能を皆が理解している状況をAWGsでは目指していきます

※掲載の文章・写真はアニマル・ドネーションが許可を得て掲載しております。無断転載はお控えください。

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ゴール 3

秘めた能力を解放させよう

人を支える犬がいます。近年は、研究の成果、動物との触れ合いが、人の心を癒したり痛みを緩和する効果を持つことが分かってきました。人に寄り添って心を癒すことを仕事とする犬猫の活躍の場を広げていきます。犬に過度な負担をさせないのが原則だと考えています。

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