虹の橋に向けて書く初めての手紙

To:小梅

From:小梅之兄哥

小梅ちゃーん!久しぶり! お空に昇って早三年、兄ちゃんやっと元気出てきたよ。今は次の目標に向けて、新たな一歩を踏み出した所。 お空の暮らしはどう?友達たくさん出来たかな。シャイで、ドッグランでもよく固まってたから少し心配。お母さんの小春や幼なじみのベスちゃん達に再会できてると良いんだけど… 兄ちゃんはこの夏、神奈川から和歌山に引っ越したよ。一緒に旅した熊野古道エリア。 共に暮らした最期の家を離れるのは寂しかったけど、小梅とのお散歩はまだ続いてる_そう信じて生きていきたくて、これがベストと思って決断したよ。なんと120万という破格の値段で100坪の古民家をGetしたよ!^ ^ あの話、覚えてる?小梅と暮らしてた頃に冗談交じりで言ってた「いつか虹の橋に旅立ったら、梅の樹の下に埋めてあげる」って話。「小梅が眠る庭に梅の樹を植えて、花が咲いたら嬉し泣き、果実が生ったら梅酒や梅干し沢山漬けて…お前は将来梅干しになるんだよ?」って微笑みかけると、首をかしげてキョトンとしてた。 それでもリアルなお別れの後は、心にポッカリと穴が空いてしまって…あの時の想いは胸に抱き続けていたものの、想像を絶する寂寥感にコテンパンに打ちのめされてしまってた。 少しも悲しみ癒えぬまま、三回忌を迎えて初心に戻って考えた。「たとえ姿が見えずとも、生前同様、小梅の為に頑張るだけだ」って。 そばに居てくれた時、どんな困難も乗り越えられたし、苦労とは全く思わなかった。この先だって同じ気持ちで生きればいい。26年間も生きてくれたお前には、一生分の幸せを先払いして貰ったと想ってる。「小梅の為にしか頑張れない病」に罹ってるみたい、ド阿呆だなって我ながら思うけど笑。心から感謝してる。 犬の毛皮を着て産まれてきたけれど、魂は紛れもなく俺の大事な妹だから。精一杯供養をするよ。とことんまで悲しんだからこそ、辿り着けた。ついに雨がやんで晴れ渡った気分。 荒れ放題の庭も耕して良質な苗木も手に入れた。慈しんで育てるよ。飛びっきりの梅酒作るから。小春から産まれたお前に小梅って名付けて良かったよ。 最後になったけど、預かりボラでコッカースパニエルのシェシェって仔と2年近く一緒に暮らしたよ。残念ながら先月お空に昇ってしまった…もし逢えたら仲良くしてあげて。最近の兄ちゃん事情にも詳しいから色々聴かせて貰ってな。じゃあな、再見!