ごめんね、愛してる。

To:サマンサ

From:ビッケ

ごめんね淋しい思いさせて。 ごめんね沢山イヤな事をして。 でも大好きだったし、もっともっと一緒にいたかったの。 彼女と出会ったのはパソコンの中でだった。険しい顔で睨まれたような気がした。 我が家にいる子と同じ、猫エイズキャリアということもあり気になり毎日覗きにいくようになった。笑顔にしたいうちの子に迎えたいと家族を説得し朝一番の電車で会いに行った。六畳位の部屋で仲間たちと一緒に生活する彼女は楽しそうではあるが固い気がした。一晩同じ部屋に泊まり過ごすが変わらない、でもご飯の時は別猫!?と思えるほどの甘えんぼ。不安はあったが運命だ!と家族に迎えた。家にきてからは夜泣きや手の届かない所に籠城眠れない日が続いた。少しずつすこしずつ心を開いてくれた彼女は、実は甘えん坊で食べるのも遊ぶのも大好きな子だった。家で仕事をしているとテーブルの下からチョイチョイ!遊べ!遊ぼうよ!とお誘いをうけても遊ぶ時間が徐々に少なくなり、そんな時友人が子猫の保護先が見つからないと相談があり里親が見つかるまでと預かった。 これが体調を崩すきっかけとなってしまった。昔こわい思いをした子はデリケートな子が多い、彼女も同じ。突然知らない声や音に敏感になりビクつくように。食いしん坊が食べない日が続き病院へ行った時は腎臓の数値が悪化して即入院。それから退院はしたもの強制給仕や薬や点滴を自宅で行い通院の負担を少なくするよう頑張った。ごめんねごめんね大好きだから一緒にいたいからと泣きながらご飯をあげてた。それが二年近く続いた、多分最後の半年は彼女にとって私は嫌な存在でしかなかっただろう。今も思う。私のしたことは正解ではなかった。彼女の希望ではなかったと思う。あれから五年。 今でも思う。 神さまがひとつだけ願いを叶えてくれるなら、どうか彼女を返して…と。 雲一つない青空や太陽に向かって咲く向日葵。彼女の笑顔を思い出す。 あなたの事を今でもこれからも想い続けるでしょう。 愛しい我が子。