行政施設レポート

ANIMAMALL(アニマモール)かわさき 【第2回 いのち・MIRAI教室】

アニマル・ドネーションでは、動物のためにがんばる行政施設への取材を行っています。

2019年2月に移転開設した神奈川県川崎市の行政施設である「動物愛護センター ANIMAMALL(アニマモール)かわさき」。第1回のレポートでは、いかに開かれた施設であるか、その工夫をレポートしました。

 

第2回目の今回は小学生向けの課外授業にアニドネスタッフも参加させていただきました。かわいい子供たちと一緒に動物のことをお勉強をしてきました!(取材:2020/2)

 

ANIMAMALL(アニマモール)かわさき 【第1回 施設レポート】

ANIMAMALL(アニマモール)かわさき 【第3回 かわさき犬・猫愛護ボランティア】

 

感受性豊かな子供たち。何を感じてくれるのでしょうか

この日は、ANINAMALLかわさきから徒歩圏内ある市内の小学校から、2年生32名の子ども達が『いのち・MIRAI教室』に参加。元気いっぱいの子ども達が、キラキラした目を輝かせながら、やってきました。

今回、取材をさせていただいたアニドネの私も、小学生の頃の課外授業をとても楽しみにしていたなぁとふと思い出しました。

 

職員のお話を熱心に聞く子どもたち

 

講師をしたのは、ANIMAMALLかわさきの職員であり、獣医師の大島公子さん。

まずはヒルズ研修室で、ANIMAMALLかわさきについて説明を受け、その後2グループに分かれて施設を見学し、再びヒルズ研修室で授業を受ける約1時間半の課外授業。質問を交えながら進んでいく授業スタイルなため、子ども達は集中を切らすことなく聞き入っていました。

 

動物の気持ちを考えてもらう。素直な意見が飛び交う授業

大島さんは、常に子供たちに質問をします。

例えば、写真をみて「この犬ってどんな気持ちなのだろう?」「この猫ちゃんは何がしたいのかな?」など、犬猫の気持ちに寄り添い、私たちの身近に感じるような質問の数々。一方的ではなく一緒に考えていくことで、より子ども達の興味を持たせているのだなと感じました。

 

特に印象に残った質問があります。

「ワンちゃんや猫ちゃんにとって、どんな暮らしが幸せだと思う?」

 

この質問に私が答えを出すよりも早く、子ども達は次々に手を挙げ答えます。

「高いところが好きそうだから、高い場所があるところ!」

「美味しいご飯があるところ!」

「家族がいる!」

 

純粋な子どもたちの答えに、なるほど、と思いました。

私たちと同じように、家族がいて、ご飯を食べ、安心して寝ることができること。子供たちは自然にわかっていて、それが人間だけでなく動物たちにも当たり前の“幸せ”であるのだと、改めて子供たちから学びました。

 

「はい!はい!」と次々と答える子供たち。犬猫と暮らしている子たちは数名

 

親猫とはぐれた子猫をどのように育てていくのか、説明を聞く子どもたち

 

子猫部屋。ガラス越しで子猫たちと対面。可愛い子猫たちに、子ども達はメロメロ

 

フードストックで、動物の食事について説明中。

「歯が弱い子たちの餌はどのようにすると思う?」と問いかける、職員で獣医師の山本さん

 

「譲渡猫室」。この日は犬11匹、猫49匹が施設にいました。

うさぎやフェレット、チンチラやインコなどが保護されることもあるそう

 

温かみのあるイラストで猫や犬の気持ちを表現したパネル。

うれしいや悲しいといった感情があることを知れば、ひどい扱いをする大人になることはないでしょう

 

 

子供たちは本当に素直。「知らない人がいきなり目の前に来て、大きな音を出したらびっくりするよね?」と大島さんが伝えると、“ほら、静かにしなきゃ!”と忍び足で進む子ども達の姿に、私は思わず笑みがこぼれました。

「人間も動物も一緒。みんなも具合の悪い時、ご飯を食べられないことあるでしょ?“なんで餌を食べられないのか?”、その子の気持ちになって考えてあげるといいよ。」と職員さんが優しく伝えていました。

 

「子供たちの想像力を広げたい」

最後に、 いのち・MIRAI教室の講師を行ったANIMAMALLかわさきの職員であり、獣医師の大島公子さんにお話を伺いました。

 

獣医の大島さん。この教室のために学校に来訪し子供の接し方を学んだそう

 

 

−いのち・MIRAI教室をするにあたって、工夫したことや、気をつけたことなどはありますか?

 

「小学生の子ども達に教室をするため、伝え方、言葉の言い回しに、特に気をつけました。例えば、“あばら骨が出ている”と言ってしまうと伝わらず、”背中が痩せている、骨が出ている”など、できるだけ分かりやすく、子ども達にも伝わるように努めました。どう伝えると子供たちが理解できるのか、を私自身が小学校の授業を見学するなどして学び教室の構成を考えました」

 

−子ども達に質問し、考えさせるという形式をあえて取られたのですか?

 

「子ども達がどうしたら一緒に考えてくれるのか?あくまでもサポートという形で、子ども達の想像力を広げるきっかけになりたいと考えています。考えることで、相手の気持ちを想像し、他者を思いやる心を育んで欲しいと思っています。

何度も教室を行うことで予想していた答えと異なる回答が来るたび、子ども達から刺激をもらっています。子ども達はこんなことを思っている。じゃあこうやって伝えたらよいのでは?さらなる教室のアップデートになりますし、私自身の成長にもなります」

 

−今後のビジョンやメッセージをお願いします。

 

「この教室をより、学びを深められるプログラムに磨き上げていきたいと思います。

また、学校への広報に力を入れ、子ども達がいのちの大切さを学ぶことに貢献していきたいです。私たちの願いは、ここに来る動物たちが減り、新しい家族と幸せに暮らせるようになることです。そのために、私たちができることを引き続き行っていきたいと思います」

 

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次回は、ANIMAMALLかわさきが行っているボランティアさんとの協働事業について 【第3回 かわさき犬猫愛護ボランティア】のレポートです。

 

ANIMAMALL(アニマモール)かわさき 【第1回 施設レポート】

ANIMAMALL(アニマモール)かわさき 【第3回 かわさき犬・猫愛護ボランティア】

 

 

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