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TOP > ペット業界人インタビュー > 富士通株式会社 ソーシャルクラウド事業開発室 今林徹さん インタビュー

富士通の取り組みが、ペット業界を根底から変える?!

─まず、富士通さんのペット業界への取り組みの内容を教えてください。
インタビュー1
「まず最初に、富士通と聞いて『ペット』を思い浮かべる方は、まずいらっしゃらないと思います。
私たち富士通のクラウド技術を使った分野において、ペット業界への取り組みは最も新しいものの一つです。 数年前から、ペット業界へ参入をしたいという声は社内ではあがっていましたが、専門家の知見が必要だが適切なパイプがない、ビジネスモデルが見えにくい等の理由から、実現には至っておりませんでした。
しかし、いまや子供の数よりペットの数が多くなり、『ペットは家族』という考えは当たり前になってきました。
また、ペット業界でも高齢化、医療の専門化が進んでおります。
そういった状況で、ある研究機関を通じた取り組みの中で獣医療界の方との出会いがあり、獣医療および業界の発展のために当社のITソリューションがお役に立てるのでないかという話になりました。 これをきっかけとして、私が所属する新規分野を開拓する部署で事業化を目指すことになり、『食・農業』『在宅医療』に並ぶクラウドビジネスの新市場の柱のひとつとして『どうぶつ医療』を掲げて取り組んでいます。

ちなみに、『動物医療』ではなく、『どうぶつ医療』と表記するのには理由があります。
人と関わりの深い犬や猫等のペットたちは人間に従属するのではなく、共に地球で生きていく大切な存在であるという気持ちから、より優しくて大切な印象を与えるひらがな表記にしています。
私たちの事業成功に対する願いが、こんなところにも表れていると思っていただければ、と思います。」
―2013年に本格始動とのことですが、現状を教えてください。
インタビュー2
「はい、将来的に目指しているのは、クラウド技術を活用して、飼い主さんや動物病院、ペット業界の方々が、ペットのライフログ(生涯記録)をペットのために共有&活用できる世の中です。 その中で中心となるのが『どうぶつ医療』分野だと捉えています。
現在、多くの飼い主さんには、ペットのかかりつけ医があると思います。ですが、ペットの容体が急変したときに夜間医療を受けることもあると思います。
また、高齢化に伴い、高度な治療を必要とすることも多くなりました。
そんなときに、かかりつけの病院を通じて、自分のペットの情報が夜間病院や高度な二次診療の病院とクラウドを通じて共有されていれば、スムーズに診察を受けることが可能になります。
またそういった情報が集まるシステムを作ることにより、疾病分析や予防分析、流行症状分析、医療ノウハウの共有や診療手法の向上など、動物医療のバックアップや先手を打った診療方針の提供まで可能になると考えております。
目指しているのは、単にシステムの開発ではなく、クラウドを利用してペットも人も安心して暮らせる環境作りなのです。

その具現化を目指すうえでの実証実験として、2011年2月から東京都城南地区(世田谷区をはじめとする都心7区41病院)で設立された一般社団法人東京城南地域獣医療推進協会(TRVA)と共に、クラウドのシステムを利用して医療の実現に取り組んでいます。 ペットの検査結果や診療記録、処置記録などを一元管理し、同地区の会員病院などと共有できるシステムを導入しました。 これにより、いつものかかりつけ医が、夜間専門病院にかけこんだ時のペットの診療情報を見てスムーズに医療にあたることができる、ということを行っています。
夜間、苦しそうなペットの様子を見るつらさは、私も一緒に暮らしていましたから判ります。 そんな飼い主さんやペットには安心を提供できますし、獣医さんにとっても、横断的な医療プロセスの連携により医療サービスレベルの向上が可能になると、メリットを感じていただいております。

実際、ペット業界はIT化があまり進んでいません。
ペットは人間と違って、戸籍も保険証も(人間のように誰もが持っているものとしては)ありません。 ですが大切な家族です。 そのためにIT化によってクラウド化されれば、病時の医療にとどまらず、生を受けてから人間と楽しく過ごす一生において、あらゆる面でサポートできる仕組みになると確信しています。」
―大震災のときには、石巻動物救護センターへシステムの提供をされたと聞きました。
インタビュー3 インタビュー4
「そうなんです。 この経験も、この『どうぶつ医療』を実現したい、と強く願う気持ちの原動力となっています。
大震災が起き、行き場を失ったペット達のためなにか出来ないかと思っていた時に、被災地に行かれる獣医師さんにお声掛けいただきました。 ただ、その時点ではまったく現地の情報はなく、なにができるのか、もしくはなにも必要がないのか、まったく判りませんでした。
ですが『とにかく行ってみよう!』と思いました。
もともと、現場をしっかり見ないと気が済まないタイプではあります。
行ってみたところ、現地で活動している獣医師さんやボランティアさんから『やってほしいことは山ほどあります』と言われ、行ってよかったと!そこから、私のチームを総動員しました。 必要なことをヒアリングし、すぐに東京で待つメンバーに内容を指示しました。 その3日後にはシステムを作り上げました。新幹線の中でもシステムのバグを修正するような数日間でしたね(笑)。これらは、もちろんボランティアです。
富士通という会社というより個人として、なにか助けになればと思って作りました。 石巻のシェルターは、被災地ということもあって、それこそ混沌としていました。 私共で作ったのは、被災動物の管理システム、ボランティアの管理システムです。 フードや薬品の在庫管理もシステム化しました。 とにかく見える化を図りました。
その後は、被災地のペットの飼い主を捜すため、また、譲渡を希望する人達に情報を届けるために、シェルターにいる犬や猫達の情報をMSNペットサーチ様にご提供したのですが、これを現場の方々の手間をかけずに簡単に行うため、システム間の連携により情報提供する仕組みをマイクロソフト様との間で実現させていただきました。」
―今後の展開をお聞かせください。
インタビュー5
「実は、今後のことはこれからの発表を待つ内容も多くて、あまり多くは語れません(笑)。 ですが、ペットと暮らす方々全て、そしてペットたちが、今以上により幸せに暮らしていけるようなシステムを構築するのは確かです。
『どうぶつ医療』においては、単に電子カルテ化ということではなく、業界インフラをクラウドで支える仕組みを実現するべく尽力するつもりです。
被災地のペットのために作ったシステムは、動物愛護センターといったシェルターで利用できると考えています。
また、少し時間がかかるとは思いますが、アニマル・ドネーションさんが問題にしているような保護犬猫の減少につながる動きもあります。
この2年ほど、さまざまな方向性を模索してきました。 社内・社外含めると数十名が、この事業の成功にむけて動いてくれています。 もちろんビジネスですから事業化は必須ですが、もともと私もペットと暮らした経験から飼い主さんと同じ気持ちで取り組める仕事に幸せを感じています。 富士通の取り組みに期待していただきたいと思います。」

今林さんがリーダーとしてとりくむ『どうぶつ医療』の詳細紹介

どうぶつ医療 http://jp.fujitsu.com/solutions/cloud/concept/social/

富士通のクラウド技術を活用した新たな取り組み『どうぶつ医療』

日本を代表する企業である富士通が取り組む『どうぶつ医療』。
ペットの種別や、診療情報、歩数や周囲の温度などの健康や生活情報など、ペットにまつわる様々な情報をクラウド上に蓄積し、ペット向けの各種サービス事業者がそのデータを利用することで、ペットと人々にとってより良い社会を目指す取り組みを始めています。
また、2012年5月に発表された、新商品の歩数計『わんダント』は富士通のセンサー技術を使い、犬の健康管理ができる商品です。

FUJITSU 会社前

2013年にかけて、新しいニュースが発表される予定です。

こちらは、被災地で保護動物のデータを入力する様子。
アンドロイドのタブレット端末を用いて、
ボランティアさんが容易に入力できる仕組みです。
今後このシステムは行政の動物愛護センターなどに
導入されればと考えられています。

端末入力
石巻動物救護センター トレーラーハウス

石巻動物救護センター(現在は閉鎖)。
トレーラーハウスには、行き場を失ったペットが数百頭集まりました。
マイクロソフトのMSNペットサーチ様との連携で、
飼い主さんや里親探しが可能となったのも、
富士通のシステムがあったから。


被災地では、寝る場所もないほどの混沌した状況で、
届いたペットフードを箱から出す時間もないほどだったとか。

上がビフォアー写真、下がアフター。
現地のスタッフと富士通さんのスタッフでシステム化し、
誰でも必要なものがすぐ取り出せるようになり
大変感謝をされたのだとか。

ビフォアー写真 アフター写真

(注)本来、富士通では、人と関わり合いの深いやさしい存在としてひらがなで『どうぶつ』と呼んでいるものですが、このインタビューの中では、分かり易さのために『ペット』としています。


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